7-1)水門の種類

水門・樋門・堰の違い

水門(すいもん)

 水門とは、河川または水路を横断する形で設けられる流水を制御するための構造物のうち河川堤防を分断する形で設置されるものです。河口付近を含む河川や運河、用水路、湖沼、貯水池、港湾などに設けられます。水門は流水を制御するとともに高水時には堤防としての機能をもちます。

樋門(ひもん)・樋管(ひかん)

 樋門も水門と同じく河川または水路を横断する形で設けられる流水を制御するための構造物ですが、樋門は堤体内に暗渠を挿入して設置されるものをいいます。

 樋門と樋管の明確な区別はなく、機能は同じですが、一般に、堤防の下をくぐる部分の構造が丸い管の場合で規模の比較的小さなものを樋管、箱形等の構造の場合で規模の大きなものを樋門と呼びます。

堰(せき)

 堰とは河川の流水を制御するための構造物のうち堤防機能をもたないものをいいます。

 農業用水・工業用水・水道用水などの水を川からとるために、河川を横断して水位を制御する施設のことをいいます。頭首工(とうしゅこう)や取水堰(しゅすいぜき)とも呼ばれます。また、河川の下流部に設置される堰で河口堰と呼ばれる堰があります。これは、河川の流下能力を向上させるため、 川の川底を掘り下げ、大洪水が来ても水を低く流し、水害が起きにくくすることがありますが、この様な工事を河川の河口付近の下流部で行うと、洪水は安全に流せるかわりに塩水が今までよりも上流にさかのぼってきます。これにより、川から取っている水に塩分が混じったり、周辺の田畑にも塩分が入り、稲や野菜に悪い影響をあたえることになります。河口堰は、このような悪い影響が出ないよう、ふだんはゲートを降ろし塩水のさかのぼりを止め、洪水のときには堤防より上にゲートを上げて洪水を安全に流します。堰を水門と混同される場合がありますが、ゲートを閉めたときに堰は堤防の役割を果しません。ここが、水門と堰の違いとなります。

閘門(こうもん)

 閘門は水門の一種ですが、水位差のある河川や運河を結ぶために設置されているものです。前後に2つの水門が設置され、その水門間に閘室と呼ばれるプールのような区画が作られ、そこに船を停泊させて水位を上下させて船を通航させます。

閘門は、川をより航行しやすくしたり、平坦でない土地に運河を建設したりするために、水位差を克服して船を通航させるために用いられます。

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ゲートの種類

 前述した、水門・樋門・堰・閘門に使用される構造物をゲートといいます。ゲートには用途によって、いろいろな種類のゲートがあり、下記に代表的なゲートを説明します。

スライドゲート(スルースゲート)

 上部に設置した開閉機により扉体を上下にスライドさせて止水する最も一般的な形状のゲートです。 扉体の材質により、鋼製・ステンレス製・アルミ合金製等に分類され、 扉体を上下させる開閉機には、平巻式・ベベル式・ラック式・電動式等いろいろな種類があります。

ローラーゲート

 スライドゲートの扉体にローラーを取付けたゲートをローラーゲートといいます。

水深が深い時や扉体が大きなゲートを上げようとすると、扉体に大きな水圧が掛かっているので扉体を引き上げる時の摩擦力も大きくなり、開閉機の能力も大きなものが必要となってきます。そこで扉体にローラーを付けることにより引き上げる時の摩擦係数を下げ、小さな力で扉体を引き上げることができるようにしたものがローラーゲートです。

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フラップゲート

 逆流防止を目的として用いられるゲートです。 ゲート前後の水位差により動作し、開閉装置を必要としないためスルースゲートより安価な価格設定となっています。 扉体の材質により、鋼製、ステンレス製、アルミ合金製等に分類されます。

 

転倒ゲート

 扉体下部のヒンジを中心として起き上がるゲートで主に取水用に用いられます。 扉体の角度を変えて貯水するため任意の水位を設定することができます。 駆動方法としては、ワイヤー式、油圧シリンダー式等に分類され、フロートを設置することによりに、洪水時に自動転倒させることもできます。 扉体の材質により、鋼製、ステンレス製に分類されます。

ゴム堰

袋状のゴム引布製の扉体を有し、空気又は水を袋体に充填、又は排除することで起伏させる形式の堰です。
・扉体は円筒状の構造体で、構造体下部を河床のコンクリート基礎(床版)に、紡錘状の両端面を堰柱壁に固定して水流を受け止めます。
・越流による扉体振動防止の観点から、下流側中間部にフィン(デフレクタ)を設ける場合があります。
・大型のものでは維持管理のため人の内部進入が可能なものもあります。

資料)・(国研)⼟⽊研究所

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横引きゲート

 海岸及び河川に隣接した堤防の出入口に設置される防潮扉です。 扉体を下部の走行車輪により横方向に移動させ、通路を開放、閉鎖させます。 東日本大震災後特に需要が高まり、民間工場でも設置されることが多くなっています。 電動化することにより複数の防潮扉を一括集中制御することも可能となっています。 扉体の材質により、鋼製、ステンレス製、アルミ合金製等に分類されます。

スイングゲート

 海岸及び河川に隣接した堤防の出入口及び工場建屋等の出入口に設置される防潮扉(水密扉)です。 扉体を側部ヒンジを中心として回転させることにより、通路を開放、閉鎖させます。 東日本大震災後特に需要が高まり、民間工場でも設置されることが多くなっています。 扉体の材質により、鋼製、ステンレス製、アルミ合金製等に分類されます。

マイターゲート

 スイングゲートと同じ用途で使用されます。開閉は扉の側部に取り付けられた回転軸により両開き式をマイタゲート、片開き式をスイングゲートと呼んでいます。比較的開口の大きな場所に使用されます。

 

ゲートとバルブの違いは?

正式にはゲートとバルブを総称して水門扉と称し、全開時に水流を制御する部分(扉体、弁体)が流路、管路内に残るものをバルブ、残らないものをゲートと区分するそうです。

ラジアルゲート(テンターゲート)

 米国の発明家J.B.テンター[Jeremiah B. Tainter]氏(1836-1920)により1886年に考案されました。
テンターゲートは昭和43(1968)年の水門鉄管技術基準改定版よりラジアルゲートという呼び名を使用するようになっていますが、同じ方式のゲートであり、ラジアルゲートという呼び名は扉体が弧状(ラジアル)に湾曲している所から名付けられたようです。

弧状の扉体を持ち、軸から放射状に扉体を支える腕(脚)が伸びており、軸を中心に扉体が上下します。
高さが低く抑えられるという利点がありますが、前後方向には厚くなります。

主に非常用洪水吐きゲートとしてダム越流頂(クレスト)に設置されます。扉体前面は円弧形状で、主桁や補助桁から脚柱を介して接続されたトラニオン軸を中心に開閉します。

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