6-2)静水の力学

 貯水池やダムに貯められた水は静水状態にあるとみなされ、水圧が問題となります。水圧(静水圧)は単位面積に作用する力の大きさで表し、記号を用います。水圧の単位として[Pa],[kPa]が用いられます。水圧がある面に作用した場合、面積全体についての力を考えることがあり、この力を全水圧といい、で表します。全水圧の単位は[N],[kN]などの力の単位を用います。静水の力学の特徴は面に対して垂直な圧力だけが作用することですが、水工構造物の設計上重要な考え方となるアルキメデスの原理やパスカルの原理なども、この特徴が作用します。

 

Sponsored Link

静水圧の性質

 静止流体中にある壁面には、その面に垂直な流体力が作用します。単位面積当たりに作用するこの力を液体の圧力といいます。

 静止している水中では、摩擦力は働かず、圧力のみが作用します。この圧力を静水圧と呼び、下記がその性質となります。

1)静水圧の大きさは水深に比例する

 静水圧は、水深の高さだけで定まり、同じ高さであれば同一の圧力になります。

2)圧力の等方性

 一点に作用する静水圧はどの方向からも同じ大きさで作用します。

 静水中のある一点の水圧の強さは、どの方向をとってもその大きさは同じになります。

3)静水圧は面に垂直に作用する

 面に作用する水圧が、仮に斜め方向から働くものとすると、その力は面に対して平行な分力を生じます。水は面に沿って流動することになり、静水の状態でなくなるので、静水圧は面に垂直に作用することになります。

Sponsored Link

パスカルの原理と水圧機

 下図のように密閉された容器内に液体を満たし、この一部に圧力を加えると、その圧力は増減することなくすべての部分に伝わります。また圧力は、容器の形には関係なく容器の壁面に垂直に作用します。これを、パスカルの原理といいます。

 図において、面積A1の小さなピストンをP1の力で押すと、

 p = P1 / A1   という液圧を発生します。

それが面積の大きなピストンを

 P2 = p x A2 の力で押すことになります。

 P2 = P1 x (A2 / A1)

小さな力(P1)で、大きな力(P2)を発生することができる。

これが水圧機の原理になります。

Sponsored Link

水圧計とマノメーター

 水圧は水深に比例します。水圧を測りたい箇所に小孔を開け、透明な細菅を付けて細管内を上昇する水柱の高さを測ると水圧を求めることができます。

水柱の高さによって流体の圧力を求めるものをマノメーターといいます。

 

浮 力

 静水中に物体があると浮力が作用します。

アルキメデスの原理によれば、浮力は物体が排除した流体の重量に等しくなります。

静水中にある物体は周囲から静水圧を受けます。水平方向の力は打ち消し合うので、合力は鉛直上方に働きます。これを浮力といいます。

液体中の物体は、物体が排除した流体の重さに等しい浮力を受けます。これをアルキメデスの原理といいます。また、排除した液体の重心を浮力の中心といい、浮力の作用点になります。

Sponsored Link

さらなるスキルアップを目指したい方

Amazonの聴く読書 今なら2か月無料で体験